スピーダーと呼ばれる小型モーターカーのキットをいくつか組みました。ここに紹介する4台は素材もそれぞれ異なり,ブラス,プラ,レジン,ホワイトメタルと変化に富んでいます.
I built four speeder kits in On30. Each kit uses different material; white metal, brass, styrene and resin respectively.
岩崎レール・モーターカーはオレンジカンパニーのブラスキット Iwasaki Rail motor car is a brass kit by Orange Company. |
主要部品はロストワックス,モーターには直接集電板がつく Main parts are molded in lost wax, Pick-ups are mounted directly on motor. |
This is a model of Iwasaki Rail LM5A motor car used in Kiso forestry logging railway. As I also made a paper model, this is a brass kit by Orange Company. Main parts including body and
underframes are molded in lost wax, with some parts such as roof skeleton
made of etched brass sheets . It is single axle driven and motor is hidden
under engine cover located between front seat. Motor and geared axle are
supported by two lost wax parts, and pick-ups made from etched sheet are
directly connected to motor,
Though lost wax parts are easily assembled with screws,
it is challenging to make roof by shaping skeleton, For canvas top, I used
a piece of beige colored shopping bag and covered with suede finish spray
paint. Window glasses should be cut in right size so that it will drop
into frames. For painting, I used canned spray of Tamiya medium gray and
GM blue #15.
木曽森林鉄道で使われた岩崎レールのLM5A型モーターカーです.このサイトからはペーパーモデルがダウンロードできますが、これはオレンジカンパニーのキットで,ボディ,シャーシーなどの主要部品はロストワックスで構成され,屋根の骨組みなどがエッチング板になっています.オレンジカンパニーからは2灯式のモデルも生産されたようです.駆動は一軸で,座席前中央のエンジンカバーを少しスケールよりも大きくしてうまくモーターを収納しています.二つのロストパーツでモーターと動力側車輪を支えており,モーター端子に直接エッチングによる集電板を取り付けます.
ロストワックスの主要パーツはねじ留めなので仮組みまでは簡単にできるのですが,屋根まわりの仕上げや走行調整に時間を要します.キャンバス屋根は骨組みの上に透明ビニールシートを貼り付けるようになっていますが,シートにはベージュ色の買物袋を切って使いました.エッチングの骨組みの形が調整できたらシートを接着し,スエード調塗料などを重ね,それらしく仕上げました.窓ガラスはベタ張りではなく,枠に落とし込むので切り出しや接着に神経を使いました.塗装はタミヤのミディアムグレーとGMの青15号の二色としました.非動力の前部の車輪は車軸中央を洋白エッチング板の切片で僅かに浮かし,走行の安定化をはかりましが,十分な調整が必要です.
RGS
Covered SpeederはGrandt Lineのプラキット |
On3でシューを使って集電する設計になっており,付属の車輪はプラ,モーターはキャラメルだが,ギア比があり,安定して走行する. T shaped pick-ups are included in the kit which contact to rail surface, and wheels are plastic. Though motor is flat open type, large gear ratio brings stable run. |
9mm径車輪を押し込み,16.5mmゲージにする Regauged to 16.5mm using 9mm diameter wheels. |
Fairmont A-3 Speeder is a On3 styrene kit by Grandt Line. In the kit, wheels are plastic, and T shaped pick-ups are included in the kit which contact to rail surface. It is obvious that the body is too light to get smooth run.
I found that inside frame can be narrowed
so that it could be regauged to 16.5mm. The length of axle is right for
it. I chose 9mm diameter wheel and adjusted axle diameter with pipe. Phosphor
bronze wire is used for electrical pick-up to wheels.
Since the model is precison engineered, the
body snap on and off to underframe without any screw mounting. I added
block weight on both sides of motor, Painting scheme is same as Iwasaki
speeder. Though motor is old open frame type, high gear ratio of 40:1 gives
stable run,
Grandt LineのOn3のプラキットです.Fairmont A-3 型スピーダーを1940年にRGSの工場で冬季仕様の密閉キャブにしたものがプロトタイプです.新しい製品ではありませんが,偶然新額堂で見つけました.キャラメルモーターを用いる動力もすべてプラで,接着剤なしで組みあがるその精巧なモールドにはいつもながら感心します.しかし,車輪はプラで,コンタクトシューを2軸の中間において集電する構造になっています.車体はやたらと軽いので,このままでは満足な集電が得られないのは明らかです.
16.5mmへの改軌を検討したところ,インサイドフレームは簡単に内側にずらせること,車軸はプラの車輪を突き抜けておらず,押し込む長さになっていたため孔の抜けた車輪については16.5mmゲージにちょうど良い長さになっていることが判明しました.ちょうど余っていた9mm径車輪をパイプで軸孔径を調整し,取り付けました.集電は0.3mm燐青銅を用い,うまくプラフレームにからませ,半田付けなしでモーター端子から伸ばした真鍮線に接触するかたちにしました.
ボディは単純な箱組ですが,設計がしっかりできているので,床板に上手くすべりこませるだけでねじ類を使わずに下回りを固定することができます.モーターの両側にウェイトを置き走行に十分な重さにしました.塗装は岩崎モーターカーと同じ調色です.動力は40:1と減速比が大きいので安定して走ってくれます.ただし,走行試験中に熱のせいかウォームにあたる平ギアの歯を欠かしてしまい,走行不能になってしまいました.幸いなことに予備のプリマスの動力部品の中に同じパーツを見つけることができ,回復しています.
Mudbug
SpeederはBoulder Valley Modelsのレジンキット Mudbug Speeder by Boulder Valley Models. |
Mudbug
Speederの下回り.プラ角材によるエンドビームでカプラーを支え,動力の落下を防ぐ. Mudbug Speeder uses Bachmann HO trolley motor bogie. Lower end beams support both couplers and power unit. |
The model is a freelance critter by Boulder Valley Models. .A flat car is included with the kit. Bachmann HO trolley motor bogie is required for power unit. I added roof luggage rack and steps to roof, During underframe assembly, I lost frame parts. So I used original Brille truck frame came with Bachmann trolley, and added a step on it, Lower end beams are made by styrene rod. It supports couplers and power unit. Spray can of Taniya medium gray and GM Izu-kyu Hawaiian blue are used for paint.
Boulder Valley Modelsが出している一連のフリーランスのクリッターのレジンキットで,ナローガレージから入手することができます.キットにはフラットカーが1両付属しています.動力はバックマンのブリルトロリーを使用します.これは古い扁平モーターを使ったものです.
レジンパーツは反りが目立ちますが,手作りの木造車体の趣はそんなことを許容してくれます.側面のドアは別パーツになっていますので,側板を抜いておけばドア可動にすることもできます.ただし,レジンの車体は弱いのでなんらかの補強が必要でしょう.ここではドアはいじらず,屋上に上がるステップと屋上の荷台をつけることにしました.これらはプラ板やプラ角材で適当につくりました.ポールでものっけてやれば保線作業車にもなりそうです.
下回りはやはりレジンパーツで軸箱まわりを組みあげ,フレームを少し指で広げて動力を滑り込ませる設計です.ところが製作中,レジンのフレームをうっかり飛ばしてしまいました.そこで動力に使うバックマンの路面電車に使われているブリル台車をそのまま使うことにしました.ただし,中央のばね板の下に乗降用のステップをつけました.また端梁をプラ角材でつくり,動力を入れてからカプラーの固定をかねてねじで取り付けるようにしたので動力の取り外しは簡単です.
塗装はタミヤのミディアムグレーの上にGM伊豆急ハワイアンブルーを吹きつけた2色の塗りわけにしました.
ところでMudbugとはザリガニのこと.どうしてこんな名称をつけたのか知りたいところですが,せいぜい連想されるのは屋根にクレーンをのせた姿でしょうか.
Ford T Inspection CarはOn-Trakより発売されているホワイトメタルのディスプレイモデル. |
|
プラ角パイプを利用して車輪を支えている. |
アルモーターとフクシマのギアボックスで動力化 |
The model can be found in 1976 catalog of Scale Structures
Ltd. It is an On3 static display model of Ford T inspection car molded
in white metal. My model is distributed by On-Trak Model Products. Since
it is a display model, engine and underframe are detailed. Some Ford T
parts are distributed as separate parts.
Instuction sheet is too simple, only with diagrams, parts lists and unclear photo copy of assembled model. Only reference is an assembled photo in the SS Ltd catalog. Some parts are hard to find out where to locate. It looks like challenging to build up underframe made of white metal parts. I finally decided not to use original underframe parts and make my own motorized underframe.
I adopted 16.5mm gauge, that is On30. Frame
is built from styrene rod and whitemetal parts are glued on it as a detail.
Styrene frame is suitable for electrical isolation. Nikko model's spoked
wheels for Tenshodo power truck replacement, Fukushima geared axle and
Aru Model motor are used for power assembly. Small Aru Model motor fits
inside Model T engine hood. To support wheel axles, I used styrene square
pipe. Cutting off one side of square pipe, axle fits in to slot. It works
fine with a little work of shaping along slots and lubrication, Phosphor
bronze wire is used for electrical pick-up to wheels. Painting is done
by can spray of Seibu rasberry over gray undercoat.
1976年発行のScale Structures Ltd.のカタログにも載っているT型フォードのインスペクションカーで総ホワイトメタルのOn3のディスプレイモデルです.手持ちのものはOn-Trak Model Productsのブランドで,かなり型は傷んでいます.ディスプレイモデルなので,エンジンや床下などかなり作りこんであります.これらのT型フォードのパーツは分売もあり,Milepost Model Worksのブランドにもなっていました.
説明書は図面とパーツリスト,完成写真のコピーからなる簡素なもので,取り付け方のはっきりしない部品もあり,SSのカタログにある鮮明な写真が組み立ての頼りです.しかし,車軸から車輪,サスペンションに至るすべてがホワイトメタルのモールドとなると,きちんと組みあがるのか不安です.その昔,山田模型というメーカーからびっくり分解自動車というプラモデルが発売されていました.パッカードのクラシックカーをブロック単位で組み上げ,走らすとぶつかるたびにバラバラになるというものです.このキットで思い浮かべるのはまさにそんな姿です.そこで,怪しげな下回りに頼るのではなく,思い切って動力化を検討してみることにしました.
動力化にあたっては当然ながら,16.5mmゲージとしました.まず,フレームの幅をせばめてプラ角材で作り直し,その上にホワイトメタルのディテールを貼り付けました.車輪は日光のパワートラック用スポーク車輪をあててみたところ大きさがちょうど良く,フクシマのユニバーサルジョイントのついたギアボックスを使ってアルモデルのモーターで一軸駆動を検討してみると,モーターがちょうどボンネット内におさまることがわかりました.
次に車軸の固定方法ですが,思い切った方法を考えました.エバーグリーンの角パイプの一面を削り,孔を整形して車軸を滑り込ませるというものです.少々乱暴な気もしましたが,結構スムーズに回転します.磨耗が気になるなら,金属片をあてがう方法も考えられますので,今後も取り入れていきたい車軸の固定方法です.集電は燐青銅線で,フレームに孔をあけて曲げて挿入し,モーターの端子とつながる真鍮線と半田付けせずに接触させています.
2007年5月 Nobuo Koizumi